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夏の日の午後〜もうすぐ午前ていうか秋

「もういいんじゃない」

と言われて、社長から安直に飲みの席でクビを言い渡された。

そんな5月。一月後小さい会社だったから、やる気のない仕事をこなして、安直にクビを言い渡された。

 

付き合って2年くらいになる彼女がいた。その時。

漠然とした不安しかなかった。現実感なんてない。

落ち込んだ。夢の終わりだって。落ち込んだ。その鬱は彼女にも及んだ。

「全然会ってくれないし、もう無理じゃないかな」

思ってもない言葉ではあるけど、思ってた事でもある。

1年セックスレスで触ることを彼女から全部拒否されていた。

仮面カップルだろう。世間一般には。

彼女と会う頻度どころか、会うことなんてなかった。行きつけの飲み屋で会うだけ。

そんな関係。毎日メールするだけの人。12歳下ってことでテンション上がってただけだ。

 

無職になり、彼女からも振られた。「未来が見えない」って。そりゃそうだ。

地獄が続いた。家から一歩も出ずにドラゴンズドグマというブックオフで100円で売ってたゲームを三日三晩続けてクリアーした。

 

終盤、ゲームの。お世話になった人々にボコボコにされて、世界の王たる存在になったら透明な存在になり、たまに下界に降りては透明な存在となり、無視される展開。30分は続いたかな。

仕方なく攻略サイトを見る。あるナイフの道具を使えと。その道具を使ったら、今まで操っていたプレイヤー割腹自殺というバッドエンド。

 

友達からFACEBOOKでメッセが来た。

「ちょっと大事な話がありまして」

行くと、離婚しそうだってよ。10年ばかりの結婚生活が終わるってよ。

「子供いないから大丈夫じゃん」

「未来が見えないって言われまして」

「どっかで聞いたことある話だな。ははは」

「…」

「泣いてんのか?」

「泣いてましうykooipjo」

「ははは、言葉に何ってないuiuaihoaj」

「そっちもなってないすよ」

 

隣にいた女性客が引くぐらい二人して泣いた。いい歳したおじさん二人で。

「女が一度決めたら無理なんだよぉ」

「女に絶対的主導権ありますからね。」

「おんななんてよぉ未練ないんだよぉ。一度決めたらズバっと切るんだよ、あいつら。切り替えはええんだよ」

 

なんてなことを言いながら泥酔していた。

 

僕の方はといえば、彼女の方から「友達でいたい」なんてなことを言われて未練たらたらで行きつけの飲み屋で会う始末。

彼女は一見全く浮気しそうにないものすごく真面目なタイプなのだ。誤解なく言えば。

その飲み屋は女好きが多い。簡単にボディタッチをする。

一度、別れたという情報が出回った時にその飲み屋に行ったら、元カノも案の定ハグの嵐。

一人は「俺と付き合ってよ」とずっと言っている。僕は止めに入ったら「オメェ関係ねぇだろ」と言われ、すごすごと帰らざるをえなかった。地獄。新しい形の地獄。セックスレスで彼女に触ることを拒否され続けた挙句周りの男たちは簡単に元カノに触れることができるなんて!何を我慢していたのかわかんないけど。ニヤニヤと泣きながら帰った記憶。そのノリが無理でその場できっと泣いてた。ははは。そんなもんだよ世の中。乗り越えることができるやつは簡単に乗り越える。彼女に触ることをずっと我慢できてたのに、そんなもんだ。馬鹿は俺だ。その現場をどうでもいいと思うようにならないと。ダメだ。

 

無理に彼女を作った。3ヶ月も経たず、彼女ができた。かわいいし、話が恐ろしく会う。とは言っても、もてるようになったのは最近で。27まで童貞だった。

童貞?なにそれ?もう古くね?そんなブーム、もう2、3年前に終わったよ。モテキ以降はみんな飽きてるんだ、そんなの。

 

友達無理。未練がましいメールを送り続けるのももうやめだ。迷惑かけちゃったな。

中野で別の友達と飲んでいた。元カノが偶然その店にやってきた。一言も喋ることなく帰った。

 

後日、行きつけの飲み屋で会った。知らない会話をそれぞれで他人の会話をしていた。僕は今の彼女に「会いたい」ってLINEをした。何かむしゃくしゃしていた。元カノは全然知らない会話してる。もう他人であるから、いいのだ。今の彼女に初めてわがまま言った。「今から会いたい」って、付き合って2週間くらいだけど。仕事も決まり、なにこれなんの上昇気流?ってくらい幸せなはずだ。今の彼女にはさすがに「今日は無理」って言われたけど。

 

他の女性常連客からもう彼女ができたことに対して非難轟々だった。お前らの方が切り替えはええだろ、バーカ!とは言えないけど。振られてんだから、関係ないだろ。お前らのその考えか方嫌いだ!こちらはどんだけどん底だったかも知らないくせに「早くね」って。嫌われているのに無理だろう、馬鹿!

 

その行きつけの飲み屋の帰り際、元カノに話しかけられた。

「こないだ、中野の飲み屋であった時にすぐ帰ったでしょ」

「友達が帰るって言うからだ。離婚した友達に昨日あった」

「大丈夫だった?その人?」

「全然無理」

「ちょっとはマシになったって」

別の常連の女性が「あの二人が別れるなんて。もう無理なのかな?」

「終わるときは終わるんだよ、そんなもん」

「私のいる時にそういうの言わないで」

なんかわからないけど勝ち誇った気分でいた。捨て台詞を吐いて帰った。

外に出てすぐ、元カノから「絶対皮肉だよ」って声が聞こえた。

自分から振っておいて、なにを言うんだ。お前は。皮肉でもなんでないだろ。

 

すごい気分が良くなった。勝ってる。って思った。

明日も仕事に行かなければ。

「終わるときは終わるんだよ。そんなもん」

 

PS

未練がましかった。ずっと。振られたばかりの時、缶ビールを飲みながら街を歩いていて、元カノと見間違えた人が阿佐ヶ谷姉妹のお姉さんだったときは感情の持って行きどころがわからなくて、いよいよ終わってるな、自分と思っていた。

 

「終わるときは終わるんだよそんなもん」

自分で言ってひどく納得した。