カルテット 第6話感想
無事に再就職も決まり、穏やかな日々だ。こんなにも穏やかな日々が来た事がいまだに信じられない。
週末は温泉や映画に出かけたり、楽しみなドラマを待つ。まるでOLのような生活。。
しかし、このカルテットというドラマは本当に素晴らしい!第6話の松たか子とクドカンの夫婦の終わりから始まりを1時間でうまく表現していて、ちょっとその辺のドラマとレベルが違うぞ!と感じた。
脚本の坂元裕二さんは「それでも生きていく」から「最高の離婚」「いつかこの恋を思い出して〜」「問題のあるレストラン」「woman」とかその他にもずっと追いかけていて、その都度いい脚本を書く人だな、と思っていた。やや、人が喋りすぎる傾向はある気はしてたけど。
カルテットも第1話から見ていて、今回は台詞をだいぶ削ってるな、と思って観ていた。そして第3話の「食べながらご飯を食べたことがある人は生きていけます!」の名台詞。すごい乗ってる!キレてるな脚本!って襟を正して観始めました。
そんな前置きはよいのです。とにかく第6話はすごい!と言いたいのです。言います。
もう冒頭からクドカンというキャスティング。情けないクリエイターみたいな役がこれ以上ないくらいハマる。本人は売れっ子だけど…。
コンビニ強盗を成り行きでやっちゃいそうな説得力あるものな、なんだか。それで妻が松たか子って。松さんはミステリアスでどっか抜けているような雰囲気の役。
クドカンは満島ひかりに、松たか子はもたいまさこにそれぞれ独白をはじめる。
回想シーンが時々挟まれる形で物語は進む。出会いはタクシーでクドカンはボソボソと「本郷まで」と告げるが、タクシーの運転手は「え?」と聞き返す。するとタクシーのドアが開き、クドカンの仕事仲間らしき太った男が同乗して来る「もう1人撮影でバイオリン弾いてた人もいいですか?」って。それが松たか子。目的地を告げる太った男と松たか子。松たか子の声が小さくて聞き取れずタクシーの運転手がまた「え?」と聞き返す。しかし、クドカンには聞こえてたらしく、松たか子の目的地を「あ、早稲田までお願いします」とクドカンが告げる。
クドカン「初めは一目惚れに近い感じで…」
松たか子「仕事仲間の1人にしか思ってなかったんだけど…彼からの電話が次いつかな?って考えてる間にあぁこの人好きかもって」
という独白。最初から共通点はたくさんあるはずなのに何処かずれている2人。クドカンの一番好きな詩集を読んでくれず、最終的に鍋敷きにされてしまった時の絶望した顔。
柿ピーをおかきのみ食べるクドカンとピーナッツばかり食べる松たか子。
人生一番の映画をいちいち説明させる上に寝ちゃう松たか子。
近くに出来たカフェまで一緒に散歩したいのに寒いから家でいいじゃんっていう松たか子。
この積み重ねはものすごくわかる。松たか子は「家族だから、全てをさらけ出していいんだ」。クドカンは「結婚しても恋人でいたかった」。
最初はSEXしてるんだろうなって描写があったのに、途中のシーンで松たか子が近所の吉田さんの話を退屈そうに上の空でそのまま寝てしまうクドカンと松たか子。
松たか子「彼が退屈しないように楽しいテレビの話を沢山したんです」
クドカン「彼女の世界は狭いから、僕が聞いてやらなきゃ」って。
だんだん好きじゃなくなっていくあの感じ。すごくわかる。逆に松たか子のように家族を求める感じもすごくわかる。
クドカンはバイオリンを弾いてる松たか子が好きだったのに、家ではGReeeeNが流れ、ハンバーグの肉の塊を揉む手をみて、あーってなってるのに、松たか子は「幸せだ」と言う。「あの人を支えたいって思ったんです」と言う。
この気の使い方、ダメになり始めた時に味わった事がすごくある。自分の話になってしまうけど、恋人の好きな映画をなんとなくよかったと言ったのに、「なにバカにしてるの?その感想?」とかなって気を使ってるのに喧嘩してしまうあの感じ。
松たか子は唐揚げになにも言わずにレモンをかけた。それを気を使ってクドカンはレモン嫌いなのに「地球一おいしい」ってごまかすあの感じ、喧嘩したくないし、好きじゃなければいけないし、真面目な人ほど陥るあのジレンマ。
GReeeeNを聴く妻と対照的なのかわからないけど、元カノが大森靖子というカルチャーの匂いのする人。
大森靖子「価値観合うか器大きくないときついっしょ」
少しの登場シーンでとてつもない名台詞!
元カノに誘われているけど、行かないクドカン。おそらく「愛してないけど、好き」なんだろうな。
後半居酒屋でクドカンが後輩と話していると松たか子が偶然現れる。聞き耳をたてる松たか子。
クドカン「唐揚げにレモンかけんなよ。嫌いなんだよ。外でくらい好きに食べさせてくれよ」
後輩「まだ結婚したばっかじゃないすか」
クドカン「わかってないな。愛してるけど、好きじゃない」
思わず飛び出してしまう松たか子。それに気づいた風のクドカン。
松たか子「ちゃんと話さなきゃって。家族だと思ってた人はいつのまにか片思いの人になってて、ちゃんと話さなきゃって」
クドカン「ちゃんと話さなきゃなって。いつのまにか欲しいものが逆さになってるって思って、ちゃんと話さなきゃなって」
なのに顔を合わせてもうまく切り出せない2人、台所で泣き崩れる松たか子。やっと言えたのが「コンビニに行ってくる」。
ふと思い立ってスーツのまま、靴下を脱ぎ捨て、家を飛び出すクドカン。マンションの階下に下りると泣いて立ちすくんでいる松たか子。それを見て走って逃げるクドカン。もう好きじゃないし、好きじゃなきゃいけないし、それも言えないし、あーめんどくせー、逃げちゃえばいい。そんな衝動がとてもよくわかる。僕もクズだからだろうか?
優しさを持っていなきゃと思うけど、それが出来なくなってしまうほど価値観の違いは埋められない。
松たか子クドカン「温泉に行った時に老夫婦と話をして、結婚生活が40年って聞いて…」
松たか子「(嬉しそうに)40年かあ〜」
クドカン「(しんどそうに)40年かあ…」
〜と…の違いがこんなに大きな溝になるなんて事を表しているなんて。
自分も恋人に相手の好きな音楽とか映画とか喧嘩になるからと思って、全く触れないようにした。相手のルールに合わせようと、すごい我慢したり努力した。メールも敬語にしてたりしてたこともある。自分のワガママで爆発した時にそれがきっかけでセックスレスになり、見事に彼女は冷めて行った。最終的にそれは全て無駄でしかなかった。話し合えばよかった。話し合えば何か違ってたかもしれない。喧嘩はしてたけど、お互いの価値観が擦り寄ることはなかったよりよかったのかもしれない。終わってみれば、最初からうまくいかない相手だったんだと思う。
別れてからしばらく未練より恨みが勝っていた。なんでこんなに恨みが消えないのかわからかったけど、このカルテット6話を見終わり涙に溺れた時、ものすごく元カノの恨みが嘘のように消えて無くなっていた。
救われたのだカルテット第6話に。
最後のアリスちゃんの生死とかドラマの続きは気になるけれど、この第6話は自分にとってとても大切な第6話になった。
そんなこんなでみんなも見たほうがいいですぞ!カルテット!松田龍平も奥さんの浮気で離婚した事ですし!!
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