アパート恐怖体験

アパートの1階で同じところにもう8年も住んでいるのだが、ものすごく恐ろしい目にあった。

うちの間取りはワンルーム六畳の一部屋で、玄関を入ると右手すぐにトイレ、左側に洗濯機と冷蔵庫が置いてある。
さらに進むと右にシャワーで左がキッチン。その奥が六畳の部屋である。突き当たりがベランダに出入り出来る窓?掃き出し窓?と言うんだろうか?になっており、人1人通れるくらいの大きさの窓がある。

部屋の真ん中にコタツがあり、その横に布団を敷いていつも寝ている。
月曜の朝6時半に起きて、布団を押入れに押し込み、歯磨きしたりトイレに行ったりしていると、コーヒーが切れているな、と思い近所の自販機に缶コーヒーを買いに行った。

自販機の前の路上に、なぜかコンビニの袋が2つ置いてあった。中にはパイの実がたくさん入った袋とカップ麺4〜5個とおにぎりがいくつか入っていて封は開けていないようで、変だな、と思った。

変なの、と思いはしたものの出社前というのもあり、缶コーヒーを買って家に戻った。

部屋に戻り、シャワーを浴びて風呂場から出ると、磨りガラス越しに人影が見えた。磨りガラス越しというのもあり人相ははっきりとはわからなかったが、短髪で上下黒の服を着ていて、この寒いなか半袖を着ていたのは確認できた。

それから、うちのアパートの作りはベランダと住宅の間に管理人さん用の狭い小径があるだけで、しかもそこに行くにはコの字型になっていて、玄関の群れの前を通り過ぎて裏へ回り込まないと入れない場所なのだ。通行人が間違えたくらいでは入り用がないデッドスペースのようになっている。管理人さんが掃除で家の前を通る事は何度かあったのでその時はあまり気にならなかった。

シャワー室から出ると、窓に人影があり、自分の体をバスタオルで拭いていると、その人影が視界の片隅で踊っているように見えた。その時にようやくこいつはおかしいという事に気づいた。気づいた瞬間、磨りガラスの人影はベランダの欄干を乗り越え、我が家のベランダに侵入し、うちの掃き出し窓を開けようとしてきた。

ホラー映画で何度も観たことのあるシーンだけどリアルに起こったら、こんなにも恐ろしいとは。全裸で「ウオオオー」と大声が出てしまった

磨りガラスの変態は窓を開けようとしたり、干してあった洗濯物をばさばさしたりしていた。段々とエスカレートして、窓を蹴ったり、手でバンバンやり始めた。手で磨りガラスをバンバンしてる様はまるでゾンビが侵入しようとしているみたいで恐怖でしかなかった。

とりあえず自分は全裸だったのでパンツを履こうと思ったものの、足がなかなかパンツに入ってくれない。なんとかパンツを履き、震える手で携帯から110番をした。110番しようにも恐怖でテンパっていて、11番や117番にかけてしまっていた。時報は今はいい。この間もずっと窓の男は窓をバンバンしていた。

なんとか警察に繋がり、住所を告げた。警察に電話している時にガラガラガラと音がして、「わ、入ってくる」と電話ごしに声が出ていた。
そちらの方を見ると、そのガラガラ音はなんのことはない網戸が窓の外で移動している音だった。警察の人にはとにかく落ち着いて、と言われた。

しかし、待つこと10分まだ警察が来ず、その間もずっとベランダの男は窓をバンバンやっている。部屋全体が揺れていた。私はパニックになって、一番近くの家に住んでいる友人に電話した。幸い友人は起きていて電話が繋がり「家に知らないおじさん来て窓バンバンしてんのよ」とよくわからない説明をしたせいか友人には冗談に思われたようだ。ちゃんと説明して友人も理解してくれたようで、「そっち行きましょうか?」という話になったもののこの磨りガラスの変態の危険に友人を晒すのも申し訳なく思い、もう少し警察を待つことにした。

部屋の内側から「やめろ!誰だよ!」と叫んでも磨りガラスの男は無言で窓をバンバンやっていた。20分くらい経ってもまだ警察が来ず(5分くらい前にも友人の後にもう一度警察に連絡している)、どうしようもなかった。とりあえずサラリーマンの悲しいサガでスーツを着て扉の方から逃げられるように玄関前で待機していた。

 

やがて磨りガラス変態男は諦めたのか、去っていった。その2分後くらいにやっと警察が来た。玄関の扉を開けて、さっきの変態を警察の人と追いかけようと思ったものの、警察官が若い女性だったからやめた。その後ろから5、6人くらいの警察の人達がたくさん来ていた。とにかくもうホッとした。

 

結局犯人は捕まらず。動機も何も分からなかった。ただの酔っ払いがふざけていた、と思うように今ではしている。掃き出し窓の外のシャッターを閉め、シャッターが開いたら「シャッター開けましたね。教団のものが参りますので五万円そこに置いておいてください」とか「お前の顔は写真に収めてある!!呪い殺す」とかちょっと気味が悪くなるようなメモが出てくるように仕掛けている。

 

防火シャッターを開ける時はトイレをこするたわしを振り回してから開けるという自分でもよく分からない防犯対策を取っている。

あー怖かった。もうホント引っ越したい。けど、お金がない。。

翌日真剣に弓矢の仕掛け方とかググるくらいに段々と腹が立った。家は本当に変態達には勘弁していただきたいものです。