ジエクストリームスキヤキ

窪塚洋介とアラタのピンポン以来の何十年かぶりの共演の映画。

スマイルとペコじゃないか。キャラクターは全然違うけど、この二人だとひょっとしたらスマイルとペコが39歳で卓球をしていなかったら、こんな感じだったかも、と思ってしまう。スマイルは大人になって、とても辛い経験を経たら、あんなユーモアセンスのあるとぼけた大人になっているかもしれない。辛かったのかどうかはわからないけれども。

 

話を映画に戻すと、自分はすごい好きな映画です。ダメな大人の映画はすごい好きなのです。「オーバーフェンス」とか「海よりもまだ深く」とか。「まだ本気出してないだけ」の映画じゃなく漫画では何度泣いたか。

窪塚さんは未だになんだかんだかっこいい。最近「沈黙」もそうだけど、ちょっとアホな役がすごく良い。狙っている感じもするけれど。スキャンダルが多い役者さんだから、可愛げを出そうとしてるのかな。邪推。邪推。

アラタに「俺たちかっこいいのに彼女がいないって、社会性ないだけマイナスすごくない」って言わせちゃうのすごく好き。

それにこれは走馬灯映画なのかな、、って。みうらじゅん×いとうせいこうのラジオ「ザツダン」で走馬灯を自分で編集したいってな話があったけど、その幸せな記憶が振り返っていて、はっきりと明示してくれないのがとても良い。

自分で走馬灯が映像として作れるなら、サウナ上がりに露店風呂で足だけ使って、外の風に当たっている中、夕方のいわゆるマジックアワーの中、おじさんたちが誘蛾灯にたむろしている映像を会話だけが聞こえる、横スクロールで。次のショットで会話の主に焦点が当たり、カットが変わり銭湯全体の俯瞰ショットへとカメラが引いて行き、街全体が映るようになって、町全体の暗闇の中から、タイトル「走馬灯」って出てきてほしい。

市川実日子、昔より、今の方がマジかわいい。手をつなごうとして拒否されるシーン、ドキドキした。

フリーターの39歳同棲中の窪塚。失業中のアラタ。おじさんを肯定してくれる青春映画である。会話が何より面白い。

「縁切ってる人なんで」

「だから、縁つなぎに来たよ。何年ぶりだっけ?」

「10年ぶり、とかじゃないっすか?」

「え?10年じゃないよ。15年ぶりだよ」

(食い気味に)「15年ぶりっすよ縁切って」

そういうやり取りのつながりで走馬灯だと思うと、なんて愛らしいんだろう人生って、て思う。

良い映画でした。